農家であり料理人であるということ
こんにちは。ゆかりです。
今年はどんな一年だったかなぁと振り返りつつ、今の自分がいる環境に感謝したくなる年の瀬の今日この頃であります。。
前職で農家レストランのシェフをやっていた時に悩んだことがあります。
理由は、畑でかぶりついた収穫したてのキュウリがあまりも美味しすぎて、料理したくないと思ったからです。
料理人としてはこれは悩みます。
素材に手を加えることでお客様に喜んで頂く、これが料理人の仕事だからです。
もっと突っ込んだ言い方をすれば、素材に手を加えることにお金を払って頂いているからです。
だから良い素材に出会ったときに料理人は唸るわけです。。
「ん~、、このまま出したい。。」
「料理したくない。。」と。
もちろんサラダやバーニャカウダなどで提供することも可能です。
でも、その時の私は一番味の乗った旬のキュウリは採れたてを一本丸かじりするのが一番美味しいと知っちゃったわけです。。
包丁も入れず、そのまま一本丸かじり!
これに勝る料理はないと。。
せめて浅漬けにした方が良いんじゃないか…乱切りに食べやすく切って塩とオリーブオイルでシンプルに…
色々悩みましたが、、
…エイッ!『キュウリ丸ごと一本、自家製味噌付き!』というメニューでお出ししました。
内心、こんなものでお金を取るのか!と怒られるんじゃないか…という考えが頭をよぎりましたが、
私はその時改めて自分の立ち位置、役割を再確認しました。
私は単なる料理人ではなく、農家でもあるのだ、ということ。
私が農業界に参入して一番感じるのは、農家の人が一番美味しい野菜を常に食べている、ということです。
採れたてに勝るものはありません。
畑で食べるのが一番美味しい。
農家が自信を持ってこれが一番美味い食べ方だ!と言えなくてはいけないし、
その美味しさを損ねないように最大限に努力しなくてはいけないと思っています。
私事ですが、、そんな矜持を持ってお出しした『キュウリ丸ごと一本、自家製味噌付き!』は、みごとにお客様に喜んで頂けました。
店内中のお客様が、みんな一斉にキュウリ丸ごと一本かぶりついている様は何とも異様な光景でしたが、、(笑)
特に美味しそうにキュウリを丸かじりしている子供たちの顔を見た時は、心から嬉しかったです。
「家ではこんなに野菜食べないんですよ~」と嬉しそうなお母さんの顔もまた忘れられません。
料理人はつい‘料理’したくなってしまいます。
もしかしたら、いらんことしてるのかもしれないよ、、と今では必ず料理する前に思うようにしています。
その野菜に必要なことだけをしてあげられる、
そして、新鮮な旬の野菜を手に入れさえすれば、料理は終わったも同然だ!ということを声高に言える‘作農料理人’でありたいと思うのであります。。
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