「センス」とは「ひな形化」なのかもしれない⑥
ある仕事にセンスがある人は、その対象を大好きな人なのでしょうか?僕はちょっと違うのではないかと思っています。
保育士になりたい人の多くは、その理由を「子供が好きだから」と答えます。実際に保育士の先生を見ていると、確かに子供が嫌いな人は少ないですが、親が我が子を好きというのとちょっと違うようです。子供の扱いが上手ですね、という話をすると、皆さん一様に「自分の子供にはできない」と言います。我慢強くやさしく子供たちを誘導している先生が、自分の子供には「何モタモタしてんの!」と怒ってしまう、と。客観的にはなれないようです。
もっと面白かった話は、たまに家で「先生テク」を使ってしまって、ハッとすると。怒らず、ある意味で淡々と子と向き合う技術は育児本が推奨しているのに母親の多くが出来ないことです。でも、それを出来てしまう先生はよしとはしていないのです。
仕事というのは多かれ少なかれ「やっつける」ものです。対象に無限の愛を感じていたらチャッチャとできるわけがない。逆に、とても好きなものはやっつけられないので、仕事にすべきではないのかもしれません。
好きこそものの上手なれ、のことわざの意味は誰でも分かりますが、「好き」の中身に種類があることを認識する必要がありそうです。センスのある人というのは、対象を心から大好きな人ではないのではないか、そんな気がしています。
そう 思います