武雄市図書館は想像を超える凄さだった
11月12日(火)に講演のため佐賀県武雄市にお招き頂き、片道7時間かけてこの方に会いに行ってきました。
言わずと知れた樋渡啓祐市長です。
半月ほど前にブログで『キレイゴトぬきの農業論』の書評を書いて下さったので、お礼のメッセージをお送りしたところ、翌朝に武雄で講演会やってくれとのお電話が。2つ返事でお引き受けしました。ちなみに樋渡市長は、この戦法を得意としていて、今回の図書館のコラボの件もCCCの増田社長にノーアポで直談判したそうです。このスピード感と突進力が、人口わずか5万人の町に代官山の蔦屋書店並みの図書館をつくることを可能にするわけです。
講演が行われたのはもちろんその武雄市図書館。準備段階からCCCの担当者の方の対応が素晴らしい。しかも早い。CCCサイドからもエース級の人材が投入されているのでしょう。
それにしてもこの図書館、開館半年でグッドデザイン金賞を取っただけあって、まず空間の素晴らしさに圧倒されます。※写真の一部はHPより拝借。
この2階のキャットウォークなんて、公共図書館じゃないでしょ。ちなみに電源付きの席があって、wifi飛んでます。
1F中央部にはスタバが。全国で売上2位になったこともあるそうです。図書館の本も、販売用の本もすべてコーヒー片手に読むことが出来ます。
で、一番驚いたのは、本の売り場と図書館の一体感です。シームレスにこだわった、という話は読んでいたのですが、有料図書と蔵書の境目が全くわかりません。
分類も多くの図書館のような十進法ではなく、利用者目線で独自に分類・配架しています。閉架だったものも全部開架に変えたそうです。四角く区切られた小部屋は蔦屋書店そのまま。違いは、代官山より空間が広くゆったりしていることです。コンシエルジュを置いているのも一緒。ちなみに職員の方に伺ったところ、以前よりやることが増えて、座る間がないほどだとか。サービス業に徹している様子が伺えました。働いている方は皆さんも生き生きしているのが伝わります。
貸出と有料図書の販売はいずれも、無人のカウンターで行われます。貸出カードはTカードになっていて、Tポイントが貯まります
こうした分かりやすい”ブックカフェ”的な魅力だけでも充分すごいですし、実際、市内外から利用者がひっきりなしに訪れる一大スポットになりつつあります。しかし、本質的に重要なのは、武雄市図書館が、これからの公共図書館に求められる「機能」を軸に図書館を再構築している点だと思います。カフェカンパニーの入川秀人さんは、カフェが成立するのに重要なのは”本業”たる飲食よりもそれが街に果たす”機能”である、とおっしゃっています。そしてそのカフェの機能性がやがて街を変えていく、と。公共図書館も、担うべき役割が時代とともに変わっていきます。「採算を考えないのが公共だ」とう意見も聞かれますが、真に求められているものは経済的にも成立するはずです。民間のノウハウを取り入れることで公共の機能性が高められていく、というのは実に現代的でエキサイティングだと思います。
なんだかんだで小一時間くらいしか見学できなかったので、またゆっくり訪れたいと思います。
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