それは私の仕事です
スタッフ伏見が満を持して47馬力のトラクターデビューを果たしました。
実は大型特殊免許保持者で、本人曰く20馬力クラスよりも、大型トラクターの方が乗りやすいそうです。仕上がりもバッチリ。これで全体の仕事の組み立てにさらに幅が出ます。
久松農園は生産から販売までをカバーしているので業務の範囲が広いのですが、分担制を敷いていません。誰もが全てのポジションをこなせる体制を目指しています。そこに向けて必要な設備投資・技術の言語化を心がけてきましたので、「それは私の担当ではありません」は言わせません(笑)。
私は小規模農業を、家族経営に頼らず外部雇用で組み立てたいと思っています。割と人数を抱える大きな農業法人であればもちろん外部雇用を中心に回しているのですが、私は小規模農業でそれをやりたいのです。ものづくりの面白さを感じて働いてもらうためには、少数精鋭のスタッフが全ての工程にコミットすることが重要です。それは生産物の質の向上のためにも欠かせません。ところが労働に見合うきちっとした報酬で週休2日で周年雇用、という当たり前の労働条件が当たり前ではない業界なのです。フツーの世界ではとうに実現した事ですが、農業の世界では割と挑戦的な試みのようです。しかしそれは楽しく質の高い仕事をしてもらうための最低条件で、そんなことすら出来なければスタッフが優しい気持ちで作物に接することなど出来るはずはなく、良質の作物を継続的にお届けすることなど不可能です。
自分は長い間ひとりで農業をしてきましたが、夫婦や家族でやっている既存の農家を見て、「ああ無駄な動きをしてるなー」と思う事がよくあります。何をするにもおしどり夫婦。機械は父ちゃん、苗を渡すのは母ちゃん、みたいな光景はほほえましいですが、必ずしも合理的ではありません。「農業は金にならない」と嘆く前に、今の設備・人員体制で生産性を上げるにはどうしたらいいかを考えるべきです。その方が面白い。
やたら長時間働いちゃうとか、ずば抜けたセンスとスキルを持っている、というスーパーマンにしか出来ない仕事は産業として成り立ちません。そういう「職人が頑張っちゃう農業」を良しとしてきた風土が、実は農業を衰退させている一つの要因だと思います。「人を選ぶ仕事」「好きじゃなきゃ出来ない仕事」ではなかなか優秀な人材が集まりません。
久松農園は不遜にもそこにチャレンジしていきたいと思っています。それを支える重要な構成要素の一つが、全員が全ポジションをこなせる日替わりオーダー体制なのです。
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