「センス」とは「ひな形化」なのかもしれない⑤
08:59 04 3月
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クルマ屋とか農機具屋とか、整備士の話が好きで、特に修理の話をよく聞きます。
修理が上手な整備士とは、という質問を彼らにぶつけると、共通して返ってくるのが、問題を絞り込む能力のこと。教科書に書いてあるような「正しい」手順を踏んでいても時間がかかるばかりなので、アタリを付ける力が重要だと言います。
腕のいい整備士の条件は仕事の速さと正確性だと思いますが、そこに最も寄与するのが問題はここだろうという勘なのかもしれません。知識や整備の技能そのものも重要な要素だけれども、それを気持ちよく発揮できる前提がアタリの付け方なのでしょう。
アタリに関して言うと、よく行く鍼の先生も似たようなことを言います。初めての患者が部屋に入った瞬間に「アンタ、胃が弱いだろう」と言って治療していました。後で理由を尋ねたところ、「なで肩の体型が、胃が弱い孫にそっくりだった」と話していました。ロジックはいろいろあるのでしょうが、まずはそこでアタリを付けている。
仕事が速い人のことを現場では「手が速い」と言います。ここで言う「手」は体の部位としての手だけを指しているのではなく、手が速く動かせる状況をつくる力の総称だと僕は解釈しています。
ここで難しいのは、腕のいい当人、あるいはそれを評価する周り人がそのことを理解している場合と、本当に手しか見ていない場合があることです。
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