本の中で取り上げられました
久松農園を長期取材して下さっていた日経新聞の吉田忠則編集委員の新刊本が出ました。昨今の農業ブームに乗じて濫造されたやっつけ本とは全く違います。農外の人は誰もが素朴に思う、「なぜ農業経営はそこまで金にならないのか?」に対してガチンコでぶつかった渾身のレポートです。レポと言っても現場紹介にとどまらず、農業基本法制定にさかのぼる戦後農政の問題点も押さえられた重厚なつくり。
久松に関しては、東大での講演のベースに、私がことあるごとに口にしている 「有機農業3つの神話」が詳しく取り上げられています。有機農業のブランディングの失敗を否定的にまとめた 『有機農業手打ちうどん説』も紹介されています(笑)。
吉田さんは農場だけでなく、僕らの勉強会にも何度も足を運び、本当に丁寧に取材されていました。僕の講演にも何度も来て頂きましたし、震災後は随分電話で議論させて頂きました。本の中でも、震災後に一旦は廃業を覚悟した僕のオタオタが紹介されています。
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「農業は衰退産業であると、多くの人が言う。筆者もそんなイメージを持って農業取材を始めた。
ところが、取材で出会った農家達は違った。新規就農者はときにくじけ、ときに喜びながら、未来に希望を持ち、生き生きと輝いていた。
(中略)
一方で、日本の農家の高齢化はあいかわらず深刻で、耕作放棄地も増え続けている。この落差はそこからくるのか。」
「企業による農業参入が、農業再生の条件だとする意見もある。断じてそれは違う。企業の経営管理ノウハウや先端技術を持ちこむ意義は否定しない。だがそれは、新手の農法の域を出ないか、かえってコストアップになることが多い。ハイテク農場で農業を変革できるわけではない。農業を生産の面だけでみるから、そうした誤解が生まれる。」 (まえがきより)
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ぜひご一読ください。
農は甦る [単行本(ソフトカバー)]
吉田 忠則 (著)
内容紹介
なぜ日本の農は衰退したのか。単なる企業参入では日本の農の再生は不可能だ。今、日本農業に必要な、複合化、グループ化、安全・安心、流通革新に基づく新たな成長の仕組みを創り出すイノベーターを活写する先端ルポ。
内容紹介
登録情報
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