佐村河内守氏のゴーストライター問題に思う
10:23 06 2月
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http://www.asahi.com/articles/ASG25343JG25UCLV003.html
「各方面で憤りの声が」という論調なわけですが、つい先日この光景見ましたよね。偽装表示問題の騒ぎを思い出して下さい。全く同じ話です。
「スターバックスで、私達はコーヒーではなく店の雰囲気やカップに入ったロゴマークを消費している」という話と同じで、私たちはモノそのものだけを楽しんでいるわけではありません。京都大学の伏木亨先生の言葉で言えば「人間は脳で食べている」。食事、音楽、美術、、。官能性が高ければ高いほど、脳に支配される率は高いと言えるでしょう。「ストーリーに騙されているだけじゃないか!」という「憤りの声」が職人たちから聞こえてきそうです。これはものづくりの敗北なのでしょうか? 僕はそうは思いません。いい悪いではなく、ヒトとはそういう特性をもった生き物なのです。
そもそも私達が「リアルに」感じている現実世界そのものが、本当に目の前にある今の今、モノそのものなのかは非常に疑わしいです。人は見たいものだけを見、聞きたいものだけを聞く、と言われますが、私達が感じているリアリティーそのものが、記憶に補強された認識です。愛する我が子が誰よりも可愛く見えるのは、生まれてからこれまでの記憶を引きずって見ているから。自分が見ている世界は、昨日までの自分の人生というフィルターを通して見ている世界です。100人いれば、100通りの世界がある、という表現は喩えではなく真実そのものなのです。
これを否定的に捉えるのか、肯定的に捉えるかは、まさにその人のフィルター次第。考えようによっては未来が明るく思える事実だと思いますけどね、僕は。
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