久松農園オフィシャルサイト | 長く続けるということ
久松農園(HISAMATSU FARM)筑波山と霞ヶ浦に挟まれた、茨城県南部の土浦市(旧新治村)で、1999年より有機農業を営んでいます。寒すぎず、暑すぎないこの地では、四季を通じて野菜を露地(屋外)で栽培することが出来ます。私たちは、季節の中で育まれる、年間50種類以上の野菜を、お客様に直接お届けしています。代表:久松達央
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長く続けるということ

長く続けるということ

22:22 09 6月 in Blog
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北海道美唄の友人うちやま農園さんより

20年前は植えればとれたのかもしれませんが、アスパラはもはや”放っておいてもとれる畑野菜”ではありません。産地化すると言うことは、環境のバランスを崩すことで病気も虫も偏って発生します。
(中略)
たぶんこうなると、来年からは新たな産地が産まれるでしょう。「アスパラは高値だからつくりましょう」と言いだす。それでも3年はかかるし、産地化しても今回のようなことで粛清されてしまい、長続きはしないのです。

市場性が出てきた物を大量に生産して次々に価格破壊を起こして行く産地が茨城にもあります。地元ではクラッシャーと呼ばれております(笑)。

これはしかし農業に限らない話ではないでしょうか。普及する、というのはこういう事ですよね。iPhoneのようにこれまで存在しなかった全く新しい物をつくっても対抗する商品は必ず現れます。経済学では理論上、完全競争市場において企業の長期利潤はゼロになります。そこに利益がある限り、適切な参入が起こるからです。

飲食店の方のお話を伺うと、今の時代では一業態・一店舗で商売が長く続くというのは相当難しい事のようです。そうなると当然大手は撤退戦略(Exit Strategy)をも視野に入れた経営計画で出店するわけです。つまり敵は、「うまくいかなかったら辞めるなり変えるなりして当然」という方針で事業に臨むっつうことです。個人店がそこに対抗するにはどうしたらいいのでしょうか。味やサービスが良ければいいのか?僕は答えは否だと思います。

「相手が誰であろうと、自分達の野球をやるだけです!」と言うのは何となく分かったような言葉ですが、それがどんな相手に対しても成立するためには、「自分達の野球」なるものが何なのかを知る必要がある。そのためにはやはり選手の視点を少し離れて客観的に球場全体を見渡す必要もあると思います。

自分自身も今の仕事はただ好きでやっているだけです。社会的な使命とか、お金がいくら欲しいからとか、家族を守るために、とかが全然ない(笑)。しかし好きなだけでは長く続けられないんだな、というのは身をもって感じます。引いて見る自分がいないとすぐやられる。

もちろん誰にとっても長く続けること自体が目的ではありません。自分が納得する本当にいい物をつくって解散するという単発プロジェクトでやるべき物もあるでしょう。映画なんかそうじゃないでしょうか。

しかし農業の場合、ある程度「一業態・一店舗」を余儀なくされる部分がある。しかも市場の変化に比べて生産条件は短期間でそれほど大きくは変えられない。これは嘆いてもしょうがない、避けられない条件です。初期投資が大きく、かつ舵を切りにくい仕事であれば尚更、「自分の野球」の特性を知ることが重要だと僕は思います。

カルロス=ゴーンさんの言葉を引いてみましょう。

変化がある時に不安に思うのは当然だし、ある局面では不安が変化を促すこともあると思うのですが、日本では不安というものが非常にネガティブに捉えられていて、不安であることに不安になったりする人もいるんです。

市場も人も技術も変化します。価値観も変わります。すべての環境が変わるわけです。環境が変わっている中で自らが変わらなければ、取り残されてしまいます。

変わることを恐れてはいけません。変化を楽しみましょう。

 

文章まで長くなってきたのでこの辺で。

 

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